訳者より

 ここまで読んで頂きありがとうございます。本来は全話翻訳が完了してから公開する積りでしたが、個人的な都合から出来た所から公開させて頂く形としました。「はしがき」の前半部分(大部分とも言う)と「食人鬼」「ろくろ首」「青柳の話」「安芸乃助の夢」「虫の研究」の全話が未訳となっております。平成17年の12月から翻訳を始めたので、約1年かかっている事になります。当初は半年ほどで完了する予定でしたが、仕事が忙しくて精神的余裕が無かったり、プロ野球観戦に忙しかったりと中々思うようにいかないものです。  現在「怪談」は多数の訳が有り、手頃な価格の物も少なくなく、私の素人訳など出る幕も無いようにも思いますが、ウェブサイトを探してみても「怪談」を掲載している所は、「青空文庫」と「プロジェクト杉田玄白」他に数話有るのみで、全話掲載している所はどこにもありません。ならばこの拙い訳もそれなりに意味があるのかもしれないと思ったりもします。私自身、既存の翻訳に不満が有る訳ではなく、ただタイピングソフトの入力文に使える和文と英文を求めて「怪談」を探していたのですが、結局自分で翻訳する事と致しました。私の訳に対しては色々ご不満も有るかと想いますがご了承下さい。尚、誤訳、入力間違い、感想など有りましたらメールして頂けると喜びます。

平成18年12月7日

 最初に公開してから8年以上たち、翻訳の開始から数えても9年以上たちました。昨年は「耳なし芳一他5編」という電子書籍を出版しました。そんなこんなで、昨年から今年にかけて全話の翻訳を終了し、更に全話校正をやり直して更新いたしました。文章はプロの翻訳に比べると見劣りしますが、省略される場合の多い注釈や初版のはしがきまで、全て翻訳した完訳であり、小泉八雲の本を1冊まるごと翻訳し、ここまで豊富に掲載したサイトは他に無いという質より量のオンリーワンです。
 校正や新規の翻訳では、長文の分割を極力避け、直訳に近いシンプルな翻訳を心がけました。
 また電子書籍としても出版しています。サイト上に無料で公開されている物が、電子書籍として売れるのか?という疑問は有りますが、そこはそれ電子書籍版では元漫画家のおぐーさんのイラストが表紙を含め5枚入り、「耳なし芳一他5編」の表紙に使っていた花咲さんのイラストから文字を外した物を収録してます。あとがきもこことは違ったのを用意しています。まあ電子書籍の値段は翻訳した文章の代金ではなくカンパで、イラストやあとがきはカンパへのお礼という考えですけどね。
 今年か来年には、個々のページにコメント欄を設置するように検討していますので、小泉八雲やその作品について語り合える機会が有れば幸いです。
 なお、言の葉掲示板の電子出版板の方では、小泉八雲の他の怪談話を「奇談」として、下訳段階の物ではありますが、翻訳できた所から公開しています。こちらもいずれサイトへの転載、電子書籍の出版を予定しています。

平成27年5月16日 八雲立つ出雲より・・・小林幸治
トップ 目次 前へ